大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)1071 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由について。

本件当事者間の生糸の売買取引が昭和二一年法律第三二号臨時物資需給調整法及

び農林商工省令第五号生糸配給統制規則に違反してなされたものであることは原判

決の確定するところである。ところで給付が民法七〇八条にいう不法原因によるも

のかどうかは、その行為の実質が当時の国民生活並に国民感情に照らし反道徳的な

醜悪な行為としてひんしゆくすべき程の反社会性を有するか否かによつて決するの

が相当であると解すべきところ、本件生糸の取引は前記統制法規に違反するとはい

え未だ右にいうような反社会性を有するものとはいゝ得ないから本件取引が不法原

因にあたることを前提とする上告人主張の抗弁が採用に値しないことは明らかであ

る。されば右抗弁を排斥した一審判決をそのまゝ引用する原判決は結局において正

当に帰し、所論は理由がない。

同第二点および第四点について。

裁判所は証拠を排斥する理由を一々判示する必要のないことは当裁判所の判例と

するところである(昭和三二年六月一一日民集一一巻一〇三〇頁)。所論はひつき

よう原審の専権に属する証拠の取捨判断ないし事実認定に対する非難に帰着し、採

るを得ない。

同第三点について。

所論の準備書面記載の摘示部分の陳述をもつて、詐欺による手形振出取消の主張

と解することはできず、また裁判所は右の点を明瞭ならしめるため釈明すべき義務

を負うものともいゝ得ない。されば原審の措置に所論の違法はなく、所論は採用の

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限りでない。

同第五点について。

振出日の記載のない白地手形の振出人は、反証のないかぎり所持人に対しその補

充権を与えてこれを振出したものと推認するのが相当であるから、所論指摘の原判

示は正当であつて、所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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